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インターセックス

いんたーせっくす / 帚木 よもぎふ

帚木 蓬生
定価 : ¥ 1,995
発売日 : 2008/08
出版社/メーカー : 集英社
おすすめ度 : (6 reviews)
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カスタマーレビュー
まずはエンブリオから......, 2008-10-10
こちらのレビューでエンブリオの続編ということを知りそちらを先に読んで正解でした。
時間を置かず続けて読んだので小説の迫力が倍増して非常におもしろく
また物語根底にある医師の倫理というテーマの重さはその分拡散され読みやすかった。
単品で読まれるとラストが若干駆け足で説明的に感じるかもしれません。
エンブリオでみせた「神の手を持つ医師」岸川の強烈で魅力的な個性は
5年の歳月とともに一見かげを潜め、ますます発展したサンビーチ病院とともに円熟した紳士ぶりを見せますが
友人の突然死に疑問を抱いた主人公の若き産婦人科医、翔子の出現によって事態は序々に緊迫感を増してゆきます。
岸川の冷徹な牙がいつ剥かれるのか....始終はらはらした思いで読み進みました。
彼女に手を貸す鉄道マニアの病理部の医師が冷静でありながら
とても人間味あふれる人物に描かれていて物語に膨らみを添えています。
そういえばミステリーでした・・, 2008-09-11
いきなり福島県の某病院でおこった癒着胎盤手術で患者死亡→担当医が逮捕という事件を想起させる裁判シーンからはじまっているので、結構長編にもかかわらず一気に読んでしまいました。もっとも、このエピソードは「モンスター」岸川と秋野翔子の二人の主人公同士を結びつけるためのお膳立てに過ぎませんが・・・。
白い容器には白い中身、黒い容器には黒い中身・・これが普通のジェンダーであるならば、GIDの人々は中身(心)が白いのに容器が黒かったりして(あるいはその逆)生まれついた人々。だから中身は自分の容器も同じ色にして欲しいと強く願うのです。しかし本書のテーマである「インターセックス」の人々は容器も中身もまだらであったり灰色であったりする人々であって、GIDとは全く違うという翔子の説明が言い得て妙でした。自身も半陰陽である漫画家・新井祥氏の著書でもインターセックスとGIDの違いを繰り返し説明を必要とするほど、やはりこの状態に対する認識はまだまだなのでしょう。
男女がわからない状態で生まれた子どもを不憫に思うのは、親や医師のもつ無自覚なパターナリズムであり、ノーマライゼーションしたいという希望も親としての素朴な願いであるだけにかえって患児を傷つけている例も多いようです。同じ病気でも内臓疾患など、放置した場合死に至るようであれば当然、パターナリズムもノーマライゼーションも是とされるのでしょうが、インターセックスの患児に繰り返される入院や手術、しかもかりに形成外科的には十分な外見が得られたとしても、生殖能力まで獲得できるとは限らない治療は、いわばうわべだけを飾るようなものに過ぎないのではないか?。むしろ患児自身の自尊心や自己愛の形成に欠損や陰りが発生するということこそが重要な問題だとする翔子の(おそらく著者そのものの)想いは熱く十二分に伝わります。
そう、性別が灰色であろうが、まだらであろうが、三毛だろうが・・ありのままの自分を自分として受け入れることからすべてがはじまるのです。
ああ、そういえばこの小説一応、ミステリーでしたが、それはむしろ読者を飽きさせないためのサービスと割り切った方が良いのでしょう。
やっと完結?, 2008-08-29
帯には何も書かれていませんが、6年前の問題作「エンブリオ」の続編です。単体で読むとちょっと消化不良ぎみになります。
前作の被害者の一人、小島加世の友人の女医がサンビーチ病院に赴任することになり、再び運命の歯車が回り始めるという展開。前作は産婦人科医の岸川よりの視点で記されていましたが、今回の視点は女医よりになり、また彼女の専門がインターセックスであることから、産科医療をより広い視点で見る作品になりました。一応前作でそのままだったミステリー的な部分は、やっと終結を迎えます、この作者らしく、豪華な病院の描写や海外でのディナーの描写の方が詳細で、謎解き部分はややあわててまとめた印象も。前作にあったピカレスクロマン的な魅力は半減しています。
サンビーチ病院に憧れます, 2008-08-20
サンビーチ病院に憧れます
後日談を知りたくなるような終わり方だった「エンブリオ」の続編で、今作品の主人公は秋野という女性医師です。「エンブリオ」を読んでからこちらを読むと、サンビーチ病院のことや関わっている人物の過去について知ることができるのでさらに楽しめるかと思います。サンビーチ病院周辺はさらに施設が充実し、相変わらず素晴らしい景観の中で、海の幸やステーキなど美味しい食べ物がたくさん登場し、そういった情景を浮かべながら読んでいると、こんな病院があったら自分もここにかかりたい・・・と思ってしまいます。私は帚木氏の情景描写が好きです。学会がらみのフランクフルトの場面では、行った事がないのに素敵な風景や料理のイメージがわいてきて、しばし優雅な気分に浸ることができました。
インターセックスについては、2作品のマンガを読んだことがあったので多少の知識がありましたが、この本を読んでさらに詳しく知ることができました。とてもわかりやすかったです。秋野が考える性のとらえ方は著者そのものの考え方であり、世界的にもそのような認識が広まっているのだろうと感じました。医学的な解説はとても参考になりましたし、たくさんの当事者の告白によって、幼少期より医者や両親に強制的に治療されていってしまうことの悲しみが伝わってきました。
この本によって今までよりも世の中にインターセックスの存在を知る人が増え、当事者たちへの理解も少しずつ深まっていくのではないでしょうか。性差医療というのははじめて知りましたが、とても興味深い内容でした。
サスペンスとしても面白く、とにかく先が知りたくて知りたくて徹夜をして一気に読みあげてしまいました。長身で女性をエスコートすることも上手で、頭脳明晰で外国語も流暢な岸川院長。自分の理想のためには手段を選ばないような怖い一面を持ち合わせてはいますが、私は「エンブリオ」以来、知らず知らずのうちに岸川院長のファンになっていたようです。読み終わって悲しい余韻が残りました。またサンビーチ病院を舞台にした続編や岸川の出生に関する物語などが読みたいです。
医療の錯誤を問う話題作, 2008-08-13
何をもって男性、女性の区別をすべきなのか、またする必要はあるのかを問うた話題作である。
インターセックスがテーマであるが読み進めるにつれ、医師の要件とは何か、マイノリティは悪いことなのか、について考えさせられた。
冒頭は昨今多くなってきている医療過誤裁判のシーン。今ホットな医療過誤裁判を彷彿とさせる。物語の性質上専門的にならざるをえないが、著者は医師だけあって、無駄なくそして分かりやすく説明がなされているので非常に読みやすい。医療現場などの記述も非常にリアリティがあった。
インターセックスの次自助グループのメンバーの告白シーンは秀逸。胸を打つ。もうこれだけでこの本を買ってよかったと思った。
主人公の性差医療の専門医師が若いのに非常に達観しているというか、立派すぎるのが気になったが、徐々にその理由がわかる仕掛けも心憎い。
難をあげるとすれば、サスペンスの要素かな。
ラストは少々拍子抜けというか・・・。もう少し秘密がかくされているのかと思ったが、それは欲張りすぎかもしれない。

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