| ヤフー経由でアマゾンを検索! |
|
Amazon.co.jp
その『AKIRA』に始まり、『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『もののけ姫』など、アニメを語る際必ず取り沙汰される作品群から、『らんま1/2』、『ああっ女神さまっ』といった、ヒット作ではあるがその手の文脈では滅多に語られないタイプのもの、さらにはポルノ色の強い作品まで網羅して、著者はアニメの作品世界を、その後ろに見え隠れする心理を、さらにはそれを生んだ戦後日本の姿を論じていく。「終末(アポカリプス)モード」「祝祭(フェスティバル)モード」「挽歌(エレジー)モード」の3種類の表現モードという観点を使ったこの考察はユニークで、まずは当を得ている。
おそらくは著者よりもはるかに多くの量のアニメを浴びるように見てきた世代の日本の読者にとっては、物足りなく感じる部分もある。著者はアニメがストーリー的に成熟していることに幾度となく触れてはいるが、それでもビジュアル的なインパクトが強い作品をより重視する傾向にあるようだ。たとえそうでなくてもアニメを語るうえでは必要不可欠と思われるいくつかの作品(たとえば『機動戦士ガンダム』)に対する言及が欠如していることは、疑問を感じざるを得ないことの1つだろう。
しかし、ひとたび著者が語ることを決めた作品はきめ細やかに再現され、解釈を加えられる。各々の作品の細部にまで踏み込みながら展開される文章には熱意があり、各々の作品に関するサブテキストとしても有用だ。
欧米のアニメファンへのアンケート調査をまとめた附論も興味深い。「アニメが、外側からはどう見られ、読み解かれているのか」がわかるという意味で、充分に価値のある著作だ。(安川正吾)