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利己的な遺伝子 <増補新装版>
リチャード・ドーキンス
,
日高 敏隆
,
岸 由二
,
羽田 節子
,
垂水 雄二
定価 :
¥ 2,940
発売日 :
2006/05/01
出版社/メーカー :
紀伊國屋書店
おすすめ度 :
(40 reviews)
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カスタマーレビュー
別角度の発想
, 2010-08-27
畑違いの人間が読んでも、大変おもしろかった。
長いのでエッセンスだけ拾ってやろうと臨みましたが、理論展開が非常におもしろいのと、各章の最後に「では親子では?」「兄弟では?」「雄雌では?」…と、次への興味を誘う問いが投げかけられ、ついには読破してしまいました。理屈っぽいようでいて、発想の自由さを担保してくれるような理論。
全く知らなかった生物たちの行動にも驚きの連続でした。ただし自分の利己性を思い出し、その気持ちわかるなあと思うことも…。
なお、タイトルの刺激の強さから著者の独善的な理論かと思っていましたが、実は多くの人の学説を採り入れながら組み立てられたもの。
また、ミームについてよく取り上げられるようですが、これについては、アナロジーとしてはよくわかるけれど、まだまだだと思う。他の章の膨大なる生物学的理論のおまけと考えたほうがよいようです。
さて、初版が出版されてから30年以上が経つそうです。著者の理論が学術的には大いに受け入れられたにもかかわらず、テレビ番組その他の論調が「種の保存」「助け合い」から脱却できないのは、おそらく道徳教育の視点からでしょう。
道徳の必要性を認めた上で、「利己的遺伝子」のような諸学説も受け入れないと、何かと本質的な議論ができないかと思うのですが…。
ロジカルシンキングの極地
, 2009-07-04
生物に対する考え方を根本から覆してくれる本。接ぎ木や地下茎で増える植物はどこからどこまでが一つの生命なのか?血液中の白血球はそれ自体、生命と言えるのか?アリやミツバチはもしかして集団で一つの生命なのか?そんな昔からの疑問をクリアにしてくれたが、同時により複雑にもしてくれた。また、数理的なのに数式を使わない進化の法則の解説も重厚。生物はその法則が司る対象の一例に過ぎない。進化という思考ツールを用いて生物を理解する本と見てもいいし、生物という具体例をよりどころにして進化の法則を解明する本と見てもいい。いずれと捉えても素晴らしい古典である。
「利己的な遺伝子」だとか「生物は遺伝子の乗り物」だとか、センセーショナルなキャッチフレーズが一人歩きしがちだが、それらは耳目をひくためのささやかな装いに過ぎず、本論はどこまでも徹底したロジックとリアリズムが貫かれている。数式と専門用語の使用を最低限に抑えるなど、大衆への配慮はするが妥協は一切許さない。特に、私たちが普段慣れ親しんでいる情緒的な見方や目的論的な物言いは慎重に排除されている。生命の来歴を冷徹に淡々と解き明かしていく様は、まさにハードボイルド小説そのもの。もちろん、比喩としての情緒的・目的論的な表現の補足は避けられなかったようだが、これは私たちが言語によって世界を認識する際の制約と限界を示していると言えまいか。そしてその事実もまた、進化のメカニズムで説明されなければならない現象なのだろう。
生物進化に情緒など皆無だし、そこから価値や道徳を引き出すことも出来ない。しかし、真に情緒を揺さぶる神秘さは、安直な抒情を廃したリアリズムの先にこそある。また、価値も道徳も、それ自体が進化の法則に従うミームだし、生物学的基盤にも立脚する必要がある。ちょうど、DNAが化学法則に従い、進化が数学に矛盾しないように。人文系・社会科学系の人間こそ読むべき。
刺激的な内容
, 2009-06-05
科学的な新知見があったわけでもなく、
この発見によって科学が進歩した
わけでもない。
新しい考え方の提案が、
とても刺激的で気になります。
読み応え十分です。
最高傑作の面白さ
, 2009-05-24
本書の増補新装版は第3版に相当し、第1版が1976年に刊行され、第2版が1989年に追記された後、初版30周年記念記念版として刊行された本である。したがって、大部分は30年以上前に執筆されたものであるが、その内容は現在でも燦然と輝いている。
主張の核心は、「生物は自然淘汰によって進化してきた。進化してきたものは、絶滅せずに生き残ってきたのだから、なんであれ利己的なはずだ。淘汰の、したがって自己利益の基本単位は、種でも、集団でも、個体でもなく、遺伝子である。すなわち、遺伝子の目的が生きのびることという意味において、遺伝子は利己的と言える。」である。加えて、「生物自体は、我々人間も含め、遺伝子が住むための生存機械である」と主張する。刺激的な言葉であるが、この本を読めば、全く専門的知識がなくとも筆者の意図が、十分に楽しめて納得することがわかる。
たとえば、自然淘汰は遺伝子単位であることを念頭におけば、”なぜ老いて死ぬのか”や”男女(雄雌)の性別はなぜあるのか”、”なぜ、親は子の世話をするのか”、”哺乳類や鳥類はなぜ子育てをするのか”、”どの種をとっても、なぜ出生数が調整されているのか”、”働きアリや働きバチはなぜひたすら女王の子孫のために働くのか”などの疑問でもさえ説明がつく。答えは全て、次世代に遺伝子をより多く残すことから説明されるのだが、詳細は本書を読めば理解できる。
遺伝子淘汰に加えて、「進化的に安定な戦略」(ゲーム理論でいうナッシュ均衡と同じ)を生物がとることを念頭におけば、”自然界では、同種殺しや共食いはみられないのはなぜか”・”男女比はなぜ50:50なのか”・”動物界の繁殖システム、一夫一婦制・乱婚・ハーレム制はなぜあるのか”も興味のある説明である。これらの答えも本書に記載がある。
いずれにせよ、ページをめくるたびに、一つ一つの事柄の説明のたびに、惹き込まれる。少なくとも、この2-3年間で読んだ本の中では、最高傑作の面白さである。
進化生物学の古典
, 2008-11-04
30年経っても色あせない科学書は大変珍しい。本書の出版と同時に「科学者はどのようにして私たちの考え方を変えたか?」というドーキンスをテーマにした26人の科学者によるエッセイ集が出版されたが、そのことからも本書の影響力の大きさが伺える。
本書はしばしば時代遅れだ、古すぎるなどと批判される。確かに本書を読んだだけで進化生物学を理解したと考えるのは間違っているが、本書が時代遅れだという批判も同じくらい間違っている。というのも、本書が紹介している自然選択のメカニズム、種の保存論の誤り、血縁選択、互恵的利他主義、ESSと言った概念は現代的な進化生物学の中核をなしているためだ。現代的な理論物理学を学ぶにはニュートン力学の理解を避けて通れない。ニュートン力学が時代遅れだ(から学ぶ必要はない)などという批判が馬鹿げているのと同じように、進化生物学でそれらの概念が生き続けている限り、本書も素晴らしい入門書、概説書として生き続けるはずだ。
また本書は科学書であるだけでない。著者にはそのつもりはないかも知れないが、結果として哲学的な問いかけも行っている。生物の存在や進化に究極的な意図や目的はないこと、種の保存のためという論理はかなり大きく誤っていること、家族をいとおしいと思ったり手助けをしたくなる感情は当たり前なことではなくて、説明が必要な(そして説明されている)自然現象だと言うことなどだ。非生物学者の読者にとっても、決して答えが見つからないだろうと思われがちな深遠な疑問や、疑問にすら感じないような当たり前のことを、論理的に深く考えるきっかけを与えてくれるだろう。
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