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サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270)

サブプライム後に何が起きているのか (宝島社新書 270)

春山 昇華
定価 : ¥ 680
発売日 : 2008/04/09
出版社/メーカー : 宝島社
おすすめ度 : (23 reviews)
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カスタマーレビュー
解りやすいが盲信は禁物, 2010-07-23
春山さんのシリーズは概略本として解りやすく全体を網羅している。しかし、これが本当に全てであろうはずがない。概略故に彼の考えに都合の良いデータを並べているにすぎないとも取れる。資本がこの世から消えたわけではなく、誰かが大損すれば他方では大儲けした人がいる。サブプライムで破綻が増えたが、巨万の富が劣後債のシャッフル再証券化のパイプを通って合衆国に集積したのも事実である。世界の金融機関は、デリバティブの専門家を相変わらず高給で処遇している。リーマンは潰れても高給とりの社員は生きてゾンビのごとく姿形を変えて活動している。取締が厳しくなればより巧妙になるのが歴史の必然である。
 こうした経済理論の基礎を学ぶには野口悠紀雄さんのファイナンス理論、金融危機の本質は何か、などが解りやすくていのではないでしょうか。また、繰り返される世界恐慌のパターンはすでに19世紀から明らかにされている。サブプライムにしてもCDSにしても、所詮は英産業革命時代の恐慌とおなじ「架空需要の創出」である。その意味で何も本質は変わっていない。庶民の懐から消え去った資本がどこに集積したかを知ることのがダマされないためにはより重要な情報ではないでしょうか。損した庶民を納得させるのは容易だが、損しない、あるいは恐慌で得する情報を得なければ教訓にはならない。
複雑な問題を簡潔にまとめてある, 2009-05-06
サブプライム問題前後に、世界の金融界で起こったことを大雑把におさらいしたタイムリーな本。約1年前に出た本なのでもっと早く読めばよかったと思う。国富(ソブリン・ウェルス)ファンドやモノラインについて章を分けて説明するなど金融の知識がない人にもよく分かるように説明してある。
今回の金融危機のような大きな問題を、わずか200ページ程度で分かりやすくまとめた意義は大きいが、各当事者の利害関係などにももう少し踏み込んでくれるとより読み応えがあったと思う。
超わかりやすいです, 2009-01-04
ちょっと古い(2008年3月頃脱稿)が、金融危機の内容と影響が非常にわかりやすくまとめられている。金融業界以外の人には、これ一冊で十分。というか、俯瞰的に状況を説明する能力が非常に高い方ですね。「だいたい聞いたことあること」がこれ一冊で「人にも説明できること」になります。
レバレッジを活用し住宅ローンなどを買い取り⇒保証(モノライン保険会社による)・格付けを利用して証券化、という仕組みが、リスクプレミアムの上昇、保険機関・格付け機関の信用失墜によって機能しなくなったことを簡潔に説明している。その上で、著者は今後の世界の金融を担うプレイヤーとして、イスラム金融、中国銀行に注目している。この章がおもしろい。
シャリーアによってレバレッジに天井があるイスラム金融機関は今回の危機によるダメージをあまり受けなかったし、金融機関の資産規模は年々拡大している。今回多数のソブリンファンドがシティなどの欧米の銀行に出資したが、これらの投資を通じ、欧米の進んだ先進金融技術が徐々に中東に移っていく可能性がある。中国の銀行は当局の規制に守られている。世界の金融当局は規制を強化しようとしているが、過去規制緩和による恩恵を強調していたのは周知の通り。現在、世界の時価総額ランキングには中国の銀行が名を連ねている。中国は確実に今後の金融大国化を狙っている。それは、20世紀前半に世界の工場だったアメリカが世紀後半に金融セクターで世界の資本市場を席巻したのに似ているかもしれない。
かなり大胆でいくらでも疑問が出てくるような予測であるが、危機をあおって悲観的であるだけのニュースよりおもしろいことは確か。別に世界は破滅するわけでなく、こうやって少し姿を変えるだけなのだという姿勢に共感する。
前著よりサブプライム問題に深くつっこんでいる, 2008-10-04
サブプライム問題が発生したあとにおこった,金融商品の格付けに疑問がもたれたこと,レバレッジをつかって資金をふやす方法に疑問がもたれて資金があつめにくくなったこと,欧米での資金調達ができなくなったためにアジアや中東に有利な条件をしめして資金調達せざるをえなくなったことなどが書かれている.前著「サブプライム問題とは何か」では解説されていなかった,証券化でつかわれた「優先劣後構造」という金融技術なども丁寧に解説されている.今後,アメリカのやくわりが中国によってとってかわられるのか,日本はどうなるのか,などについても論じられている.前著との重複はよくおさえられているので,あわせて読むとよいだろう.
繰り返され、増幅されるモラルハザード, 2008-08-17
前著「サブプライム問題とは何か」に続き、分かりやすく現在起きている問題の本質を開設し、金融を中心とした経済の今後を描いています。
前著に引き続き、経済の素人(大学生から社会人1-2年生を想定しているとか)が読んでも分かりやすいように解説されており、非常に読みやすい。金融のプロであるはずの銀行・証券会社・モノライン保険会社等が、「レバレッジ」や「証券化」という打ち出の小槌を手にしたが故に陥った、「楽をして、効率的に儲けよう」とするが故の、モラルハザードがどのようなものであったのかがよく分かります。
2006年前半まではかつてない好況を享受していた世界経済が暗転し、今も底が見えない恐怖。好況時には、調子にのって、「赤信号をみんなで大手を振って渡っていた」人たちが、一斉にあらゆるリスクに背を向ける極端な方向転換。レバレッジという「てこの原理」があるがゆえに、ちょっとしたきっかけが、世界経済を反転させてしまうほどのインパクトを持つ、怖い世界。もともと極端に振れやすい人間の心理が、金融技術の発達によってさらに増幅されてしまう不安定さが現代金融の特徴なのでしょうか。
本書では、前作以上に、ポスト・パクスアメリカーナの世界経済の予測に力を入れています。影響力を増してきたSWF。イスラムの厳格な教義に根差すイスラム金融。共産主義という枠の中で工夫を重ね、膨大な生産力と内需を武器に世界中に経済覇権を広げようとしている中国の姿など、アメリカの次、を考えるためのヒントが詰まっています。
字も大きめで通勤時などにもさらっと読め、しかも、現代金融が抱えるのリスクの本質がわかる本。前作ともどもお勧めです。

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